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千倉について・その2

先日、千倉の町へ行く機会がありました。このチャンスに是非この「いそのり」を味わってみたいと思いましたが、日帰りの旅程では朝食を食べることはできません。あちこち散策して、漁港から駅までの道をのんびりと歩いていたときのことです。

道路沿いに、「海苔」の専門店がありました。一度は通り過ぎたのですが、「あ。」と気づいて店の中を覗くと、さまざまな焼き海苔で店は一杯。

入って店の方に話を伺うと、ここではすぐそこの海で取れた海苔をその日のうちに干して、焼いたものを袋詰めにして売っているとのこと。

袋詰めになった海苔は何種類もあり、値段の差もわずか。どれがどれやら見当もつかない飛び入りの客に、店の方は親切に説明してくれました。大きく分けて、「青トビ」という青海苔が混じったものと、黒海苔だけで作ったものがあるとのことです。
「青トビ」のほうが安いのですが、焼いて熱いご飯に乗せると、どっちも風味があって美味しいですよ、とのことでした。

『村上朝日堂』の巻末付録でも水丸さんが、いそのりには「青いのと黒いのがあってさ、黒いのが上等なわけ」と仰っています。試食させてもらうと、たしかに青トビのほうは、いわゆる「青海苔」の味がします。黒いのだけのほうと食べ比べてみると、その差ははっきりわかります。しかし、どちらも旨い!

焼きたてでまだ温かい、袋詰めの海苔を何種類か買って戻りました。駅近くの店では大きなかぶや大根など野菜も見事で、つい買いそうになりましたが、あきらめて電車に乗りました。千倉、いい町です。

(このあと、水丸さんにお話を伺い、これは『村上朝日堂』で語られていた「いそのり」とは別のものであることが判明するのですが、それは次回。)

(出版部S)

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